イオン導入
皮膚は、外敵の侵入から体の内側を守るバリヤの働きをしています。
お肌に良い化粧品を塗っても、ほとんど吸収されません。
水溶化される化粧品の成分を弱い電流の力を借り、イオン化します。
マイナス同士、あるいは、プラス同士が反発する原理を利用し、お肌のバリヤを通過させ有効成分を吸収させるのがイオン導入です。
化粧品の単純塗布比べ、数100倍(実験レベル)の吸収力があります。
ビタミンCはマイナスに帯電する性格があります。
その性格を利用してイオン導入ができます。
あらゆるタイプのシミにビタミンCをイオン導入することは効果的です。
ビタミンCにはメラニンの産生を抑制する作用があります。
ビタミンCには、それ以外にも、お肌にいろいろとよい作用があります。
ビタミンCとその商品の詳細は、「ニキビの治療について」の“イオン導入”をご覧ください。
受けたくても受けられない方
- 体内に金属のある方(ペースメーカー、人工関節、その他)
- 妊娠中・授乳中の方
- ビタミンCやEにかぶれる方
- ニキビやシミ以外で、導入部位に皮膚疾患のある方
回数
通常は、ケミカルピーリング(グリコール酸ピーリング・サリチル酸マクロゴールピーリング)・レーザーピーリング等の処置でご来院されたときに、一緒にお受けになるのがよいでしょう。
イオン導入 (あるいは、イオン導入EX)を単独でお受けになるなら、週に2回のペースで、3ヶ月連続で受けていただいた方がよいでしょう。
合併症・副作用
基本的に大きな副作用はございません。
イオン導入中のピリピリ感を感じることがあります(電流を弱めることにより、快適にお受けになれます)。
ビタミンC,Eによるかぶれ・刺激感・乾燥感を生じることがあります(刺激感・乾燥感はAPPS+Eローションを使うことにより非常に軽減されます)。
イオン導入単独では、効果がかなりマイルドなので、頻回に受け、かつ、長期間継続することが大事です。
頻回に受診することが困難な場合は、家庭用イオン導入器を購入され、継続されることをおすすめします。
肝斑や炎症後色素沈着の方にトラネキサム酸によるイオン導入ができるようになりました。
トラネキサム酸は、メラニンの生成を抑える作用と、炎症を抑える作用を併せ持つ薬剤です。
これらの作用機序から、美白効果と肌荒れ改善効果を同時に実現します。
トラネキサム酸といえば、肝斑・炎症後色素沈着・赤黒いニキビ痕等に対して、内服薬が使われていました。
特に肝斑という、レーザー照射のできないしみには非常に効果的でした。
ビタミンCのイオン導入と併用するとさらに効果的です。
ケミカルピーリング(グリコール酸ピーリング・サリチル酸マクロゴール)
角層にシミの成分(メラニン)が、限局している場合や、くすみ程度なら回数を重ねてもらいますと、徐々に薄くなってきます。
一番のポイントは、ケミカルピーリングで、角層をはがすことにより、皮膚のバリヤー機能が破壊されるので、ハイドロキノンやイオン導入(ビタミンCでのイオン導入やトラネキサム酸によるイオン導入)の効果をアップさせるのに役立ちます。
レーザーが怖い方、ガーゼや絆創膏を貼って仕事のできない方、トレチノインが合わない方に、ハイドロキノンやイオン導入(ビタミンCでのイオン導入やトラネキサム酸によるイオン導入)と、ケミカルピーリングを併用してみてください。
ケミカルピーリングについての詳細は、「ニキビとニキビ痕の治療法」の“ケミカルピーリング(グリコール酸ピーリング・サリチル酸マクロゴールピーリング)”をご覧ください。
トラネキサム酸内服
肝斑の治療に主に用います。
他の種類のシミにも飲んでいただくことがあります。
トラネキサム酸の作用機序等の詳細は、「シミの種類」の“肝斑”をご覧ください。
体質や疾患により内服できないあなたには、イオン導入ができます。
“イオン導入TA”をご覧ください。
CO2レーザー(炭酸ガスレーザー)
CO2レーザー(炭酸ガスレーザー)の出す光は、組織中の水分に吸収され、著明な熱効果を生じます。
この原理を利用して、組織を蒸散させます。
ほとんど出血させることなく切除することができます。
ホクロや皮膚良性小腫瘍の治療に適しています。
痛みがありますので局所麻酔を必要とします。
脂漏性角化症は皮膚の表面(角層)にできる皮膚良性腫瘍です。
CO2レーザー(炭酸ガスレーザー)を用い、脂漏性角化症を皮膚表面から削り取るイメージです。
ほぼ痕は残りませんが、残るとしたら軽度の凹んだ痕になります。
軽度の凹み以外の傷跡としては、赤み・シミ・隆起です。
赤み、シミは一時的なもので、顔だとすると基本的には3~6ヶ月で自然に消えます。
隆起ができる方は一部の部位を除くと体質によるところが大きく、隆起の痕は治りにくいです。
基本的に出血せず、翌日から、洗顔や洗髪が可能です。
自宅での処置は翌日から処方された軟膏を塗布してガーゼ等で保護します。
上皮化(傷跡にきちんと皮膚が張ること)するまで、通常2週間かかります。
上皮化するまで自宅での処置を続けます。
上皮化後の状態に応じて凹みや赤みを少しで早くきれいにするための創傷被覆材を貼っていただくことがあります。
液体窒素療法
液体窒素療法とは、液体窒素という約マイナス200℃のものを使い、脂漏性角化症(老人性疣贅、又は、老人性イボ)という老化でできた良性腫瘍を凍らせ、その細胞を破壊するという治療法です。
凍った脂漏性角化症は徐々にカサブタになり、2週間くらいかけてそのカサブタが取れる時に一緒に取れるという理論です。
しかし、手術のように切って取るのとは違い、1回の治療で取りきれるとは限らないのです。取りきれるまで2週間に1回ずつ液体窒素療法を繰り返します。
取りきれるまでの回数は脂漏性角化症の大きさ、脂漏性角化症のできている部位、体質により個人差があります。
長所
- 保険適用です。
- 施術後の自宅での処置やガーゼ保護が不要です。
短所
- 1回の処置では取りきれないことがあります。
- 隆起は取れますが、色調の改善がきれいにいかないことがあります。
合併症・問題点
- 痛みがあります。
- 水疱や血庖ができることがあります。水疱や血庖があるときだけは浴槽内やプール内に患部をつけることができません。
- 一時的に施術後に色素沈着を生じますが、まれにその色素沈着が定着することがあります。
- 施術直後は赤くはれぼったくなり、その後、痂皮化してより黒くなるので、一時的に施術前より目立った状態になります。