ケミカルピーリングについて
ケミカルピーリングとは、皮膚に酸を塗り、酸の作用で皮膚表層の一部(角層)を化学的(ケミカル)に剥がす(ピール)ことです。古くくすんだ角層が除去されることで新陳代謝が活発になり、新しい滑らかなお肌が出てきます。また、毛穴の詰まりや溜まっているものが取れやすくなります。
肌質や体質やライフスタイル等に応じて、ケミカルピーリングに使用する酸には、 グリコール酸、サリチル酸マクロゴール、乳酸、 ミックスピール及びミックスピールプラス(グリコール酸・乳酸・サリチル酸の混合)、 の計4種類があります。
効果が期待できる症状
- ニキビ
- ニキビ痕
- テカリ
- くすみ
- 小じわ
受けることができない方
- 日焼けしている方、または今後日焼けする予定のある方
- 妊娠中、または授乳中の方
- イボやヘルペスができている方
- 放射線治療を受けている方、または受けた方
- ピーリング希望部位に、3ヶ月以内の手術歴がある方
- ケロイド体質の方(グリコール酸・乳酸・ミックスピール)
- 自己免疫疾患の方(グリコール酸・乳酸・ミックスピール)
- アスピリン/バファリン/痛み止めのいずれかで喘息等の副作用が出た方(サリチル酸マクロゴール・ミックスピール)
治療間隔と回数
- グリコール酸、乳酸、ミックスピールは、2週間に1回のペースで受けてください。
- サリチル酸マクロゴール、ミックスピールプラスは、1ヶ月に1回のペースで受けてください(ただし、1ヶ月待つと新しいニキビが出てきてしまう方は、3週間に1回のペースで受けてください)。
- 新しいニキビだと、平均するとグリコール酸、乳酸、ミックスピールで6回1クール、サリチル酸マクロゴール、ミックスピールプラスで3~6回1クールです。いずれの酸も、1~2クール必要です。
- ニキビ痕は、最低でも新しいニキビの2倍の回数はかかります。
- くすみや小じわ、毛孔性苔癬(二の腕のブツブツ)は、特に回数は決まっていません。
- いずれの酸も希望があればいつでも中止できます。
治療前後の注意
- 日焼けしないでください。海水浴・スキー・テニス・ゴルフ・登山・海外旅行等は、ピーリング前後1ヶ月は控えてください。ご予定のある場合は、ご予約の際にお知らせください。
- ピーリング前後1週間は、顔面マッサージや垢すり等はやめてください。
- ピーリング前日とピーリング後1週間は、顔そり、毛抜き、スクラブ、パック等はやめてください。
- ピーリング前後3日間は、レチノール・ピーリング剤含有化粧品等をやめてください。
- ハイドロキノンは、ピーリング後3日間はやめてください。
- トレチノイン、ベピオゲル、デュアックゲル、エピデュオゲル、AZAクリアは、グリコール酸、乳酸、ミックスピールの前後3日間、サリチル酸マクロゴール、ミックスピールプラスの前後1週間はやめてください。
- ディフェリンは、グリコール酸、乳酸、ミックスピール後3日間、サリチル酸マクロゴール、ミックスピールプラス後1週間は中止してください。ただし、施術を受け、痛みや乾燥が強く出る方は、次回からグリコール酸、乳酸、ミックスピール前3日間、サリチル酸マクロゴール、ミックスピールプラス前1週間も中止してください。
- 他院で、ケミカルピーリング、レーザー治療、ヒアルロン酸注入等、何らかの処置を受けたことのある方は、ピーリング前にご報告ください。また、他院で何らかの処置を受ける予定がある場合もピーリング前にご報告ください。さらに、他院で、当クリニックでピーリングを受けたことをお伝えください。
- イボやヘルペスのできやすい方は、ピーリング前にご報告ください。
- 施術前に洗顔していただきます。
- コンタクトレンズは外していただきます。ケースをお忘れの時は110円(税込)で購入していただきます。
- 顔面に限らず貴金属はすべて外してください。
- ピーリング後3日間は、当クリニック指定のビタミンCローションか、ノンアルコールで刺激がほとんどないヒアルロン酸配合ローションで保湿し、バリア機能保護のために当クリニック指定の乳液を使ってください。他の化粧品は使わないでください。当クリニックで購入された化粧品(例:シーバムシリーズ等)も同様です。
- 角層の剥がされた皮膚を紫外線から守るため、可能な限り、夕方以降に施術を受けてください(サリチル酸マクロゴールのみ)。
- ピーリング当日は、化粧ができません(サリチル酸マクロゴールのみ)。
- ピーリング当日は、洗顔剤やシャンプーリンスを使用できません(サリチル酸マクロゴールのみ)。
使用するピーリング剤の詳細
グリコール酸
グリコール酸とは、乳酸・リンゴ酸・クエン酸などとともにα-ヒドロキシ酸(AHA、果物に多く含まれるので、別名フルーツ酸)と呼ばれる有機酸の1つです。
グリコール酸は、AHAの中で、最も分子量が小さいことにより、皮膚への浸透性が期待できます。
アクネ桿菌抑制作用および関連するバクテリアの増殖抑制作用を有し、特にニキビ治療に向いているとされています。
表皮剥離を促進し、蓄積し古く肥厚した角質を除去することから美肌効果も期待でき、チロシナーゼ活性化抑制による美白効果も期待できます。
一般的に行われている“ケミカルピーリング”とは、この「グリコール酸」を用いたピーリングであることがほとんどです。
サリチル酸マクロゴール
サリチル酸とは、β-ヒドロキシ酸(BHA)の一種で、植物に多く含まれています。
角質溶解作用、他薬剤の局所浸透を高める作用、真菌を殺す作用等を持った医薬品として、以前より皮膚科治療に頻用されてきました。
サリチル酸をそのまま用いると、グリコール酸と比べ、かなり強力にピーリングができる代わりに、強い痛み・発赤・びらん等の合併症も必発で、危険なピーリング剤でした。
しかし、マクロゴール(エチレンオキシドと水との付加重合体、ポリエチレングリコール)という基剤と用いることにより、角層のみに反応するようになり、かつ、皮脂腺から血中へのサリチル酸の移行がなくなるので、局所的、および、全身性の副作用が少なくなりました。
つまり、サリチル酸マクロゴールピーリングは、効果的、かつ、副作用の少ない安全なピーリングです。
乳酸
乳酸とは、グリコール酸・リンゴ酸・クエン酸などとともにα-ヒドロキシ酸(AHA、果物に多く含まれるので、別名フルーツ酸)と呼ばれる有機酸の1つです。
特徴としては、角質層のセラミド量を増加させることによる保湿作用があるので、施術後の乾燥が少なく、むしろ潤うこともあるので、アンチエイジング目的に向いているとされています。
グリコール酸と共通した表皮剥離促進作用や古く肥厚した角質を除去する作用からニキビへの効果も期待でき、ニキビ痕の赤みを消す効果は乳酸の方が上回るとも言われています。
ミックスピール(およびミックスピールプラス)
グリコール酸・乳酸・サリチル酸を混合したもので、乳酸をメインにしたものが「ミックスピール」、グリコール酸をメインにしたものが「ミックスピールプラス」です。
混合するメリットは、各酸の特長を活かして、即効性にキメを整え、ツヤを与え、ザラつきを改善し滑らかにするためです。
「ミックスピールプラス」にはビタミンA誘導体も配合されているので、毛穴改善やハリ弾力アップにも効果的とされています。
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